第7回取材旅行 その2 |
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キューバからジャマイカへの直線距離は160キロメートル。飛行機を使わずとも船でさえ半日で行ける距離です。ところが! いろいろ探してみても直接行く方法が見つかりません。どうも米国寄りのジャマイカは、あまりキューバと親しくなさそうですね。それで最短で行けるルートのプランBはというと、これがなんとパナマを経由するとな! そんなわけで僕らは目的地よりはるかに遠い、パナマのトクメン国際空港に向けて飛んだのでありました。 |
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お世話になったのはコパ航空さん。機体は新しく、短時間フライトにもかかわらず出された軽食は結構イケました。これチキンバーガーとチップスにケーキ。ハバナのトクメン国際空港はこじんまりしながらも、これまた新しくショップも充実していて1時間ほどのトランジットタイムでは楽しむのに短すぎるくらい。ちなみにこの空港、トランジットの場合は保安検査がなく、アライバルフロアがそのままディパーチャーになっていました。牧歌的ですね。 |
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ハバナ、パナマからV時ルートで到着したジャマイカのリゾート地、モンテゴベイのサングスター国際空港。これまたトクメン国際空港よりさらにこじんまりした空港です。しかも結構古い。え? なんで首都のキングストンに行かないのか? その理由は後ほどお話しましょう。 |
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空港から乗ったタクシーで早速クレオール語の洗礼を受けました。気さくなドライバーが話しかけてきたのですが、最初は何語を喋っているのか皆目見当もつかなかったのですよ。しかしPerdon? を連発しているうちに、それがジャマイカ訛りの英語であることが分かってきました。これ、ボブ・マーリーなどレゲエをよく聴いている方ならお分かりいただけるかと思います。とにかく発音といい、言い回しといい、アメリカやイギリスとはだいぶ違うのですよ。さて、空港からダウンタウンの手前にある予約したホテルまでは、ほんの10分ほどの距離。こんな海沿いをのんびり走って行きます。 |
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モンテゴベイでのホテルはドクターズケーブビーチのほぼ真正面に位置するこんな佇まい。取材に適した地の利と治安、そしてコストを考慮して決めました。手前がフロントの入り口で、その先の1階部分はハーレーダビッドソンのショップになっています。なぜか宿泊客に必要なレストランやカフェは併設されていなかったので、朝食は外で摂ることになりました。 |
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セキュリティの厳重なフロントを抜けて裏に出ると急峻な丘を背にした3階建ての宿泊棟が建っています。左側の屋外階段を登って、あてがわれた3階の部屋まで行きました。 |
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お〜、ここの部屋は広いですね! いかにも南国のリゾート地にあるホテルといった雰囲気。でも星付きではありませんよ。1泊日本円で約7,100円とはいえ、まぁ、現地の相場を考えると安宿の延長です。この辺はホテルの敷地内ですべてのアトラクションが完結したオールインクルーシブタイプが主流。パックツアーの場合はそちらに泊まるのでしょう。 |
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部屋には広いテラスがあり、カリブ海が一望できました。ん〜、南国情緒満点! |
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それではなぜ首都のキングストンに行かなかったのか? その理由をお話しましょうか。まずは左の写真に写っている白い制服の2人にご注目を。彼らはこの界隈でよく見かける観光パトロールです。彼らの仕事はもちろん治安の維持。そう、ジャマイカは南アフリカやベネズエラと並ぶ、世界有数の暴力犯罪多発国なのですよ。なかでも比較的に治安がいいといわれるモンテゴベイですら、ダウンタウンは日中でも危険な臭いがプンプンでした。ましてや夜ともなると、そこまでの道中も含めて、とてもよそ者がうろちょろできるムードではありません。そんなわけで、ここよりさらに治安の悪いキングストンは、コアなレゲエファンでもない僕らにとって、そもそも取材地の候補に入れてなかったのでした。 |
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モンテゴベイのサングスター国際空港は海沿いに位置しています。ですからご覧のように飛行機は海側からアクセスしてきますので、着陸前には眼下にコバルト色の透き通った海が見えていました。僕らの経験の中でも飛びぬけて美しいランディングシーンです。 |
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翌朝は徒歩5分ほどのところにある高級ホテルのレストランへ出かけ、宿泊客に交じって朝食を摂りました。僕がチョイスしたのはボリューム満点のジャマイカンブレイクファーストプレート。いわゆる土地の料理の盛り合わせです。フライドバナナは南米北部でもよく食べましたね。その上にある同じような色をした丸いのは、フェスティバル。これはコーンミールで作った沖縄のサーターアンダーギーみたいなもので、アメリカではハッシュパピー、イギリスではコーンブレッドとも呼ばれています。その左上でちょろっとケチャップがかかっているのがアキーアンドソルトフィッシュ。西アフリカ原産のアキーと呼ばれる卵のような味と食感の不思議な果実と塩漬けの魚を傷めたもの。黙って出されると塩魚の卵とじだと思うのではないかな? 朝からボリュームたっぷりでしたが野菜がほとんどなので意外とヘルシー。 |
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さて、せっかくここまで来たのですから腹ごなしはビーチに行きましょう。ここはホテルの斜前にある有料(入場6USD、デッキチェアとパラソルも各6USD)のドクターズケーブビーチ。青い空とコバルト色のカリブ海が眩しい。もうちょっと南に無料のビーチもありますけど、治安を考えるなら利用は控えた方がいいでしょうね。 |
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ビーチでのんびりなんて思えば2002年の2月に行ったタイのプーケット以来ですから何と12年ぶり! いやぁ〜、いいですね。ここでともこさんのビキニ姿をご覧に入れようと編集していたのですが、本人からの強い要望(抗議、いや脅迫かな?)があり、左のような、つまらん写真に差し替えとなってしまいました。 |
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ランチはジャマイカ名物ジャークチキンの取材です。これ、植民地時代にジャングルへ逃げ込んだ逃亡奴隷が考えた料理といわれ、したがいまして作り方もワイルドです。ご覧の通り、天板を金網に交換したテーブルの中段で薪を燃やし、素材をじっくりローストたジャマイカンバーベキュー。蓋はなんとトタン板です。 |
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ジャングルに自生していたスパイスを使ってマリネした肉は独特なフレーバーがあり、えもいわれぬ香ばしさ。左がジャークチキン、右はジャークポーク。どちらもゴキゲンな美味しさです。そしてこれに合わせるのはご当地ビールのレッドストライプしかないでしょう! |
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ご参考までに、これが無料のビーチです。あそこで泳ぐ度胸あります? ちなみ写真にも写っていますが、ひとりだけビーチに寝ころんでいた人がいました。たぶんローカルでしょう。彼が無事に帰れますように・・・ |
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ホテルから日中であれば徒歩でも行けた老舗レストランのペリカン。店内はファミレス風ですが料理は本格的です。 |
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まずはフィッシュケーキ。魚のすり身を使ったタルトのような料理です。スパイス感はありませんが香ばしくて美味しい。 |
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次はジャマイカ版の南蛮漬け、エスコビッチ。え? 写真が間違ってる? いえいえこれでいいのです。スペインから伝わったエスカベッシュがここでは温かい白身魚(レッドスナッパー)の甘酢かけになっていました。ポルトガルを経由して日本でローカライズされた南蛮漬けとはだいぶ違いますが、これはこれで美味しかったですよ。量的には主菜です。ちなみにエスカベッシュはスペインやポルトガルで生まれた料理ではなく、一説によると、そのルーツはペルシャ(イラン)に遡るそうな。実は僕ら、ギョーザだけではなく、この流れも追いかけています。世界はとんでもないところで繋がっているのですね。 |
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移民の出身国の違いがはっきり分かれた料理の好例がこれ、カリーゴート(ヤギのカレー)。ジャマイカにはキューバよりインド系の移民が多く、ゆえにこうしたカレー系料理が根付いたのでした。 |
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列強のパワーゲームの結果がその後の植民地の運命を決め、キューバはスペイン領、ジャマイカはイギリス領となりましたが、(ですから今の公用語もそれぞれ違うのです)文化的な影響は双方向的に及ぼしている部分も少なくありません。このオックステールシチューはスペインの影響だといわれています。そのせいか、どことなく洗練された味わいがあるような。オリジナルとの違いは、ほんのりスパイシーなところかな? |
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デザートはラムプディングで決まりでしょう。カリブの酒といえば砂糖キビが原料のラム酒。その芳醇なダークラムが香るボリューミーなプリンはまさに大人のデザートです。 |
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ジャマイカ編は写真が少なくてすみません。とにかく治安が悪いのでカメラを下げて歩くどころか、うかつに取り出すのもリスキーだったのですよ。ですからダウンタウンでは1枚も撮れませんでした。それでもなんとかホテルの徒歩圏内で取材を行い、皆さんに紹介するネタは集められましたからご心配なく。無事に空港まで戻ってほっと一息の僕らが最後に食べたのは、ご覧のスーパーサイズハンバーガーとトロピカルピッツア。締めはアメリカンになってしまいましたが、まぁ、これも現地が受けた影響の一つとして良しとしましょうか。 |
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え? この雪景色はどこだ? 今度こそ写真が間違ってる? いやはや僕もそうありたかったのですけどね。これは酷寒のトロントのホテルから撮った1枚。昨夜、定刻通り18時半にカナダのトロントに着いた僕らは、タクシー代をケチって無料のシャトルバスでトランジットホテルまで行こうとしたのですが、これがビッグミステイクでした。探せども探せどもバス乗り場が分らず、ようやく見つけたその場所はターミナルの外にあるマイナス20度の吹きさらし! そこで待つこと30分!! 6時間前はカリブのビーチで、ほぇ〜っとくつろいでいた僕らはマジで凍死するかと思いました。 |
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ああ、もはやこれまで、皆さんさようなら・・・と観念したところで来たバスに救われた僕らが運ばれたのがここ。その名もコンフォート(居心地のいい)ホテル! |
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部屋はこの通り、なんの個性もありませんでしたが、とにかく暖かかった! ん〜、コンフォータブル! ホテルの名前は嘘ではなかったのです。 |
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翌朝は朝食を摂る間もなく悪夢の空港に戻り、日本への帰路に就いたのでした。僕らの旅は結局のところ、いつも何かが起こるんですよね。 See you on the next trip!! |
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