<<旅のメニューが変わります>>

 世界のギョーザ特集パート7

柴又でもお馴染みとなりました世界のギョーザ特集。 料理の起源探しというのは難しいもので、以前は中国の餃子が各地に伝わったのだろうと単純に思い込んでいたのが、いざ旅をしながらさまざまなギョーザを食べてみると、どうもこの説は怪しそうだという気がしてきました。なぜなら味、形、材料、そして食べ方に至るまで、想像を超えたバリエーションがあるではないですか。これらをすべて一本の系統樹で説明するのは、ちと苦しいような。 加えて名前を調べると、マントゥ(トルコ)やギューザ(アゼルバイジャン)のように近いものがあれば、ヒンカリ(ジョージア)やクルルジョネス(イタリア・サルデーニャ島)のように、まったく関係がなさそうなものまである。はたしてこれらの根はひとつなのか、それとも複数か? 今回はモルドバ、ドイツ、モンゴルのギョーザを食べくらべながら、一緒に考えてみて下さい。

 

期間 2024年12月20日(金)〜12月30日

Coltunasi

モルドバ キシナウ風 コルトゥナシ

 <<前菜>>  1200円

モルドバはウクライナとルーマニアに囲まれた、九州よりやや小さい内陸国。言語、文化ともにルーマニアと多くの共通点を持ちますが、料理には微妙な違いがありました。なかでも目を引いたのがルーマニアでは見かけなかったギョーザの存在。大きさはロシアのペリメニほどで、メニューにはたいていコルディナシとペリメニが並んでいたことから、何らかの繋がりがあるのかもしれません。 とはいえ、双方は包み方が異なり、名前ときたらロシア名よりむしろリトアニアのコルディナイとそっくり。さらに肉入りのほか、ポテト、チーズ、フルーツバージョンまであるところは、ポーランドのピエロギと共通しているなど、どうやら複雑な出自を持っていそうです。食べ方のバリエーションも豊富で、今回はポテトバージョンに、取材時の旬だったマッシュルームのソースを添えたもので再現しました。

Maultaschen

ドイツ シュトゥットガルト風 マウルタッシェン
<<主菜>>  1500円
このユニークなギョーザを初めて紹介したのは、野方で営業していた2010年のこと。以来、これまで作っていたのは、ともこ料理長がドイツ料理レストランで修行時代に学んだバージョンでしたが、今回は先のヨーロッパ横断旅行で訪れた発祥地、シュトゥットガルトのものを再現してみました。生真面目なドイツ人も、ことマウルタッシェンの定義については寛容なようで、具に合い挽き肉、ソーセージ、ほうれん草を使い、小麦粉の生地で包めば、おおむねそう名乗れるようです。形は四角や三角から丸型があり、加熱方法も茹でが主流とはいえ、焼いているケースやスープ仕立てまである。また、サーブに至っては、さまざまなソースや付け合わせが見られたため、料理人の数だけレシピもあると言っていいかもしれません。今回はシュトゥットガルトのローカルレストランで食べた、ビールソース添えでお召し上がりください。

Банштай шyл

モンゴル ザミンウード風 バンシタイシュル
<<主菜>>  1800円
2017年にロシア(コミ共和国周辺)のギョーザ、ペリメニを紹介しましたが、これと中国の餃子の関係は以前から気になるところでした。そこで探してみると両国の中間に位置するモンゴルに「バンシ」や「ボーズ」と呼ばれるギョーザがあるそうな。後日、現地で確認したのは、同じ、ヒツジ肉を小麦粉の生地で包んだものでも、半月型にして揚げると「ホーショール」、小籠包のように蒸せば「ボーズ」、古いおカネの形にして茹でた場合は「バンシ」と呼ばれ、別の料理として扱われていること。ここで更なる謎となったのは、「バンシ」という言葉の出どころです。この語にはモンゴル語や北京語で意味はありません。ということは外来語なのですが、いったい、いつ、どこから伝わったのでしょう? そんな思いを巡らせながら、今回ご賞味いただくのは、国境の街ザミンウードで出会った具だくさんのスープバージョンです。

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