<<2022年夏の特集>>
エジプト料理を中心に

アッサラーム アライクム柴又!中野区の野方からやってきた旅の食堂ととら亭の第2章は、夏にふさわしいスパイシーな料理で幕開けです。中心となるのはエジプト料理。ピラミッドやスフィンクスなどの遺跡で有名なわりに、「料理は?」と聞かれて答えられる人はごくわずかですよね?。そこで僕らが現地で食べたおいしい経験をシェアしましょう!その再現度は治安と衛生環境を除けば、ほぼ100パーセント。珍しいところでは前菜にブルガリアのヨーグルトのサラダ、スネジャンカのほか、主菜は南アフリカのアプリコットマヨネーズを添えたムニエル、ジョージアのスパイシーなスペアリブなど、知られざる美食の国々の料理も合わせてご紹介。お供のワインは夏の定番、ポルトガルの微発砲ワインのヴィーニョヴェルデから歴史あるエジプトワインまで取り揃えて、小さな旅のはじまりです!

期間 2022年7月20日(水)〜9月26日(月)

Molokheya

ルクソール風 モロヘイヤ

<<前菜>> 600円
よく知られたエジプト原産の野菜と言えば、独特な粘り気が特徴のモロヘイヤ。現地では、その名がそのまま料理名にもなっていました。モロヘイヤの葉を根気よく叩き刻み、チキンブイヨンでなめらかに伸ばしたスープは、レストランだけではなく家庭でも作られる定番的な前菜です。まずはクミンとフライドガーリックの香りが食欲をそそる、暑い季節に最適なスターターからはじめませんか?

Tagen samak

 ルクソール風 タゲンサマク

<<主菜>> 1500円
タジンといえばモロッコのタジン鍋で作られる料理で知られていますが、文化を共有する北アフリカの国々では、アルジェリア、チュニジアなどでスパイシーなキッシュになっていたりもします。そこで距離的に最も遠いエジプトではどうだったかと申しますと、鍋こそ違いますが、タゲンと呼称が転訛して再びシチューに戻っていました。トマトベースの酸味が効いたルーで淡水スズキのナイルパーチを軽く煮込み、クミンとレモンの香りで意外なアクセントが添えられています。

Dawood Basha

 カイロ風 ダウッド・バシャ

<<主菜>> 1700円
松の実とレーズンが入ったスパイシーなミートボールをトマトソースで煮込んだこの料理、 その起源は18世紀初頭から19世紀初頭にかけて、オスマン領だった頃のイラクに遡るとの説があります。なんでもグルジア系領主だったデビッド・パシャがことのほかこの料理を気に入り、 毎日のように食べていたことから彼の名で呼ばれるようになったそうな。 (エジプトではアラビア語に転訛してダウッド・バシャ) 風説なので一応レシピを検証してみましたが、 不可欠な素材のトマトは16世紀初頭のメキシコからスペインに伝播しており、 オスマン帝国はその版図から料理人を集めて料理の伝統を築いていた背景を考えると、 あながち眉唾ではないかもしれません。 今ではエジプトをはじめ、レバノン、シリアなど旧オスマン帝国領の国々でさまざまなバリエーションがあります。 ここで再現したのは2019年に訪れたカイロのレストランで食べたもの。 コクのある赤ワインがよく合います。

 

Bamiya bil lahme

 カイロ風 バミア・ビ・ラハマ

<<主菜>> 2200円
オクラはその名の響きからして日本原産かと思っていたのですが、実はアフリカ北東部生まれでした。 どおりで北アフリカの国々を旅したとき、そこかしこでオクラを使った料理があったわけです。この語はガーナで話されるトウィ語のンクラマに由来するとの説がありますが、 ヨーロッパにはアンゴラで話されているバントゥー語のキンゴンボが伝わり、 ガンボ(英)、ゴンボ(仏、伊)と呼ばれるようになりました、 今回の料理名となっているバミアはアラビア語です。 オクラとラムやビーフを煮込んだバミア・ビ・ラハマはエジプトの他、 アラビア半島、バルカン半島の各地に根付いており、それぞれ独自の特徴を持っています。 今回ご紹介するエジプトバージョンはラムをカルダモン風味のトマトソースで煮込んだもの。 オクラはエジプトで紀元前から栽培されており、この料理も数千年の歴史があると言われていますから、 ピラミッドを作っていた人々も食べていたかもしれませんね。

 

Снежанка

 ソフィア風 スネジャンカ

<<前菜>> 900円
黙って出されて食べたら、ほとんどの方がクリームチーズのブルサン(boursin)だと思うであろうこの料理。 実はヨーグルトの水分をしっかり切り、ディルとキュウリ、クルミを和えたものなんですね。 そのまま前菜としてもよし、パンにつけて白ワインのお供にもまたよし。 クリーミーでコクのあるバルカン半島の味をお楽しみ下さい。ちなみにブルガリアはヨーグルトの発祥地のひとつとして数えられていますが、 この言葉は「ヨウルト yogurt 撹拌する」というトルコ語から派生したものだそうな。 ブルガリアでは「酸っぱい乳」を意味するキセロ・ムリャコ(кисело мляко)と呼ばれていました。 ブルガリアを作ったブルガール人は、もともと中央アジアにいたモンゴロイドのトゥルク系遊牧民。 それがハンガリーを作ったマジャール人と同じく、コーカソイドと混血を繰り返しながら、西へ移動しつつ、 言語をスラブ系に変え、見かけも白人になってしまいました。 ということは、蒙古斑を残す人がまだいるのでしょうか? 次の機会に調べてみたいと思います。

 

Meuniere with apricot mayonnaise sauce

 

白身魚のムニエル
アプリコットマヨネーズ添え
<<主菜>> 1600円
ケープ地方はワインの産地として有名ですが、ブドウだけではなく、 リンゴやアプリコットなど、さまざまな種類のフルーツも盛んに作られています。 それらは生のまま、または乾燥させて料理に使われており、 組み合わせの多様性はいかにもご当地らしいものがありました。 その中でもイチオシは、淡白な白身魚をこんがり焼き、 コクと酸味が調和したアプリコット入りマヨネーズソースを添えたムニエル。 さわやかなライムの香りがとてもいいアクセントです。

 

Georgian spicy spareribs

トビリシ風
ジョージアンスペアリブ
<<主菜>> 1700円
ジョージア(グルジア)は北海道より少し大きい国土に東京都民の約1/3、450万人弱の国民が暮らすコーカサス地方の小国。しかしユニークな食文化を持つがゆえに、旧ソビエト連邦圏では美食の国としても知られています。その特徴を際立たせているのはアジカと呼ばれるメキシコのサルサに似たソースの存在。この柔らかいスペアリブはアジカをローストする時に使い、そのまま味わうより香ばしく仕上げた郷土料理です。

Vinho Verde

 ヴィーニョヴェルデ

ヴィーニョヴェルデ(Vinho Verde)というポルトガル語を直訳すると「緑のワイン」になります。現地に行く前は 「メロンワインのようなキワモノか?」と思っていましたが、 真相は早摘みのブドウを使った瑞々しいワインのこと。微炭酸の爽やかさとフルーティながらもドライな余韻は、 シーフードからスパイシーな料理までぴったり。
白 ムラーリャス・デ・モンサオン
3600円
赤 アデガ・デ・モンサオン
3400円
ロゼ トレヴォ ヴィーニョヴェルデ
3600円
 

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