<<旅のメニューが変わります>>
南 米 料 理 特 集
ととら亭を開業する1年前の2009年、僕たちは3カ月間に及ぶ中南米の旅に出かけました。 メキシコから始まり、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、 ブラジルを巡った日々は、今でも鮮やかな印象を僕たちの心に残しています。 なかでも自然と文化の多様性が形になった郷土料理の数々は、忘れられない記憶の一部です。 今回はその思い出ふかい品々の中から、特に歴史の広がりを感じさせる3皿をご紹介しましょう。

期間 2021年4月22日(木)〜2021年7月下旬(予定)

Pastel de choclo

 チリ パステル・デ・チョクロ

<<主菜>> 1200円
南米料理は先住民族と移民の料理が混淆して生まれたものがたくさんあります。 このパステル・デ・チョクロもその典型的な例。
一説によるとコンキスタドール(スペインのアメリカ大陸征服者)が現地の料理人に ミンスミート(現在は刻んだドライフルーツにスパイスを加えたものですが、 19世紀までは肉も入っていた)入りのエンパナーダ(さまざまな具を包んだスペインのパイ)を作らせたところ、 小麦粉の生地の代わりにマプチェ族(チリ中南部からアルゼンチン南部に住むアメリカ州の先住民)が食べている、 ウミータ(トウモロコシの粉を練ってトウモロコシの葉で包み蒸したちまき状のもの)で代用したことから、 この料理が生まれたそうな。 料理名のパステルとはスペイン語でパイ、チョクロはこの料理で使われる甘味のない白い大粒のトウモロコシの名前です。 スパイシーなビーフ、チキン、ドライレーズン、茹で卵、オリーブをコーンペーストで包んで焼き上げた、 チリの代表料理をお楽しみ下さい。

Locro

 アルゼンチン ロクロ

<<主菜>> 1700円
南米大陸の西岸側、エクアドルからチリにかけての広い地域にロクロと呼ばれる汁物の料理があります。 この料理名は15世紀初頭にインカ帝国を築いたケチュア族の言葉でスープやシチューを表すルクルを語源としており、 料理の分布がインカ帝国の版図とも合致していることから、ケチュア族の料理だったともいわれています。
元来はカボチャ、ジャガイモ、トウモロコシなど南米原産の野菜をシンプルに煮込んだものだったようですが、 これに16世紀初頭からスペインがもたらした欧州由来(経由)のオレガノ、ガーリック、タマネギや、 チーズ、ソーセージなどが加わり、19世紀初頭に現代の国々が独立し始めるに伴って、 地域ごとの多様化が進んだようです。 現代ではエクアドルのチーズとアボカドが入ったパンプキンスープ、 ペルーではアヒアマリージョを加えてライスに添え、 ボリビアではチキンも入ったりとバリエーションなどが国民食として楽しまれています。今回ご紹介するアルゼンチンバージョンはなかでもチョリソーや塩漬け豚、ビーフまで入った豪華版。 どおりで5月25日の独立記念日に食べられるところまで昇格していたわけですね。 アクセントにはスパイシーなオイルソースのキキリミチを添えて。

  Aji de gallina

 ペルー アヒ・デ・ガジーナ

<<主菜>> 1400円
料理というものは時に数奇な運命を経て生まれるもの。 今やペルーで国民食ともなっているアヒ・デ・ガジーナは、その起源を中東に遡るといわれています。
まずはペルシャ発祥と思しきアーモンドと砂糖、米を使った肉料理が北アフリカのムーア人を介してイベリア半島に伝わり、 (これがのちにデザートのブランマンジェとなる)それをスペインがペルーに持ち込みます。 次にフランス革命の難を逃れたフランス人シェフが現地の素材アヒ・アマリージョ(トウガラシの一種)を加え 作り出したのがこの料理だそうな。 なるほど南米の素材とミルクやチーズ、オリーブなど旧大陸素材使った不思議なハイブリッドレシピは、 この説の信ぴょう性を裏付けているようにも思えます。 色といいライス添えの食べ方といい一見カレーのようにも見えますが、 クリーミーなコクとアヒ・アマリージョのソフトな辛味の組み合わせはまったく似て異なるもの。 これは食べてみなくちゃ分かりません。

南米のお酒とソフトドリンク

今回のワインはアルゼンチン屈指のワイナリー、メンドーサから。 特にトラピチェは僕らがブエノスアイレスで飲んだ思い出ふかいマルベックです。 ビールとソフトドリンクはペルーから。
白ワイン トリヴェント レゼルバ・シャルドネ
3500円
赤ワイン トラピチェ オークカスク・マルベック
3600円
ペルーのビール クスケーニャ 
850円
インカコーラ
500円

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